トラブルQ&A

交通事故の際の病院の対応について
質問番号412
カテゴリ事故 > 交通事故
2013年11月07日
question
私は、先日、交通事故に遭いました。ある弁護士の先生に相談しているのですが、「ケガが治るまでは、なにもしなくて大丈夫だ。」と言われています。
本当になにもしなくていいのでしょうか。不安です。
answer
弁護士が何もしなくて大丈夫と言っているのは、「治療が完了するまで加害者に請求する損害額が確定しないので、今は治療に専念しておけばよい」という趣旨だと思います。

しかし、被害に遭っても何もせず、人任せにしておくだけでは、いざ加害者に損害賠償を求めていく段階になって、あれもこれもと要求されて戸惑ってしまいます。やはり自分なりに将来の請求に備えて今行っておくべきことは事故直後から準備しておくべきです。

例えば、事故状況に争いがある(将来争いが生じる可能性がある)なら、できるだけ記憶が鮮明なうちに現場の事故状況を思い出し、現場の写真を撮るなどして調査書としてまとめておくべきです。
特に物損事故扱いとなっている場合は、事故直後の警察官の簡単なメモ程度しか書類は残りませんので必須です。人身事故扱いとなっていて警察の実況見分に立ち会う場合にも、調査書は記憶の喚起のために非常に役立ちます。

また、治療を続けるためにかかった費用は、ノートを作って領収書を貼りつけ、時系列で何がどれだけかかったかを記録に残しておくべきです。
加害者が任意保険に加入している場合は保険会社が大半の治療費を支払ってくれますが、保険会社が支払の対象から外してくる治療費もありますし、交通費や付添人の費用、仕事を休んだことによる損害など、後で請求していくものは、予め証拠書類とともに保管しておく必要があります。保険会社に領収書等を提出する場合も、必ずコピーをとっておくべきでしょう。

なお、治療は、なんでも自分の判断で行えばよいというわけではなく、特に整骨院など病院以外で治療を受ける場合は医師の指示を前もって得ておく必要があります。これがないと後で請求できなくなることもありますので注意が必要です。

このほか、治療は自由診療扱いにするのか、健康保険扱いにするのか、健康保険扱いにする場合には健康保険から要求される第三者行為による傷病届や念書等の手配をする必要があります。
加害者が任意保険に加入していない場合には、自賠責の仮渡金や内払金を請求することも検討すべきですし、生活が立ちいかなくなるおそれがある場合は一時的にでも生活保護を申請しなければならないこともあるでしょう。

また、自分や家族が加入している医療保険や自動車保険も調べておくことです。見落としがちなのが、家族が加入している自動車保険の特約です。特約には、例えば、被害者の過失の有無を問わず一定の損害賠償金を受け取れる人身傷害補償特約や弁護士費用特約など請求にあたって注意すべきものがあります。人身傷害補償特約については、加害者との示談がまとまる前に保険金を受け取れることがありますし、被害者の過失が大きい場合には受け取れる金額が大きくなることがありますので、後で忘れていたということにならないよう予め調べておく必要があるでしょう。

このほか、具体的事案によって準備すべきことは異なりますので、できるだけ早い時期に、交通事故の処理について経験豊富な弁護士に相談をされ、事故後の流れについて適切なアドバイスを受け、ある程度の見通しをもったうえで、安心して治療に専念できるようにしておくことをお勧めします。
トラブルQ&A一覧に戻る
ページ最上部へ
都道府県リセット