1.信号待ちをしていたところを後ろから追突された場合には、被害者に過失はないと言え、加害者は被害者が被った損害全てを賠償せねばなりません。
2.しかし、加害者が賠償義務を負うのは、あくまで被害者が被った損害のみですので、被害車両が修理可能な場合には、修理費相当額が損害となります。
したがって、修理が可能な場合に、被害者が車を買いなおして新車にしてほしいと言っても、加害者は、修理費用を支払えばよいことになります。
3.もっとも、車両の機能や外観が完全には修理されなかったり(技術上の評価損)、車両の事故歴により売却価格が下がったりする(取引上の評価損)ような場合には、評価損(格落ち損)が認められるかが問題となります。
技術上の評価損については、評価損の請求が認められることに概ね異論はありません。
他方、取引上の評価損については、これを認めるかについての議論もありますが、修理の程度、車種、登録年度、走行距離等を考慮して相当といえる場合には、評価損が認められる傾向にあります。
質問者の場合、追突された車が、登録後1か月の新車であったということですから、登録年度や走行距離については条件をクリアできるでしょう。
あとは、修理が車体の骨格部分まで及んでいるか、一定の車格を有するかを考慮して、この点をクリアできれば評価損が認められることになります。
なお、実務においては、修理費の10%から30%が評価損として認定される場合が多いといえます。
仮に、本件で評価損が認められる場合には、その額はこれと同様に考えられます。