危急時遺言では、他の方式の遺言と異なり、特別に、家庭裁判所による遺言の確認の手続が必要です。
遺言の確認というのは、遺言が遺言者の真意に出たものかどうかについて、裁判所が確認する手続です。
この確認の審判の際には、遺言者が生存していれば、裁判所が直接遺言者に面接するなどして真意を確認しますし、遺言者が死亡していたり、意識不明の状態の場合には、遺言が遺言者の真意に基づいたものか否かについて、医師、看護婦その他の関係者などから事情を聞くなどして、詳しい調査がなされます。
したがって、危急時遺言をするときには医師の立会を求めるなどして(証人になってもらってもよい)、後日の遺言の確認のための準備をしておくことが肝要です。遺言者や証人が作成した遺言にかかわるメモなども確認のためには有用な資料となりますので捨てずにとっておくべきです。
危急時遺言を執行するために遺言の確認に加えて遺言の検認も必要です。
遺言の検認というのは、遺言の形式その他の状態を家庭裁判所が調査確認するための手続で公正証書遺言以外はすべての遺言で必要とされているものです。
なお、遺言者が重体であっても、時間的に公証人に来てもらうだけの余裕がある場合には、危急時遺言を作成するのではなく、公証人に出張してもらって公正証書遺言を作成したほうがよいでしょう。
公正証書遺言であれば、確認や検認の手続は不要です。